FILOSOPHIE

Vol.09

FILOSOPHIE Vol.09「Fête de la Musique! 6月のパリは音楽にあふれて」

Fête de la Musique!
6月のパリは音楽にあふれて

ワクチンの接種と並行して、パリの街が日常を取り戻し始めています。からりと晴れて暑すぎないこの時期は過ごしやすく、22時近くまで陽が暮れないので、金色に輝くセーヌの流れを見ていたりすると、ついつい時間の感覚も狂いがちです。

Fête de la Musique! 6月のパリは音楽にあふれて

そして6月21日の夏至の日は「Fête de la Musique(フェット ドゥ ラ ミュージック)音楽の日」。夏の訪れをみんなで、音楽と共にお祝いしましょう!というこのお祭りは、文化庁が主催する国の行事で、今年で39回目。1982年にフランスで始まり、今では世界中に広がっているそうです。
この日はプロ、アマチュア問わず誰でも演奏することができて、誰もが無料でそれを楽しめるというのが決まりごと。コンサートホールでの演奏会から、路上ライブまで街中に音楽が鳴り響く日です。

Fête de la Musique! 6月のパリは音楽にあふれて
Fête de la Musique! 6月のパリは音楽にあふれて

大抵は平日なので、昼間の街はいつもと変わらない様子。それでも夕方が近づいてくると、広場や公園、テラスなど、街のあらゆる場所に楽器やステージがセットされ始めます。
演奏家たちの国籍や年齢と同じように音楽のジャンルも個性豊か。クラシック、ジャズ、ロック、ラテン、子供の合唱隊から民族音楽まで、少し歩くだけであらゆる種類の音楽に遭遇します。座り込んで聞いていたり、歌ったり、軽やかなステップを披露しだす老夫婦が喝采を浴びたりと、みんなが思い思いに音楽と共に過ごす夜。子どもたちにとっては、夏の始まりの近所のお祭りといった感じでしょうか。いつもよりちょっとだけ夜ふかしできる特別な日なのです。

Fête de la Musique! 6月のパリは音楽にあふれて
Fête de la Musique! 6月のパリは音楽にあふれて

これを書いている今も、建物のどこかから小さく楽器の音が聴こえています。
毎年隣の小さな広場でライブをするロックバンドがリハーサルを始めたようです。40〜50代のメンバーが中心の5人組で、みんな本業は別にあるようですが、90年代のポピュラーなロックナンバーを息の合った演奏で聴かせる、近所の人気バンドです。コンサートの帰り道に立ち寄ったり、自宅で夕食を食べている時に定番の曲のイントロが流れて急いで降りていったりと、気づけば10年近く欠かさず彼らの演奏を聴いています。一緒に座って見ていたボーカルの息子は、少年から青年になり、去年はギタリストとして飛び入り参加しました。ご近所さんたちと、通りがかりの人も入り混じって、踊って笑って過ごします。

芸術の国フランスの文化大臣が掲げた、ジャンルや起源の階層なしに音楽を楽しむという理念は、こんなふうにパリの街角で愛される夏のひとときになっています。

Text:Seiko itoh


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