FILOSOPHIE

Vol.11

FILOSOPHIE Vol.11「ゆたかな心と味覚を育む、美食の国フランスの食育風景」

ゆたかな心と味覚を育む、
美食の国フランスの食育風景

パリの子ども達は秋休み中。コートやスカーフが必要な気候になり、日に日に夕方が短くなっていくのを感じ始めると、冬時間の始まりです。
日本でも“食欲の秋”などと言われるこの季節、フランスでは毎年10月の第3週目を「SEMAINE DU GOUT(味覚週間)」と名付け、食育に力を入れる1週間となっています。この“味覚週間”では幼稚園や学校でも食にまつわるさまざまなイベントが開かれます。食材を選んで栄養素の勉強をしたり、学校にシェフを招いての調理実習があったり。

Vol.11「ゆたかな心と味覚を育む、美食の国フランスの食育風景」

私の娘の幼稚園ではこの時期に「朝ご飯の会」というのが開かれていました。それぞれの国や地域で食べられている朝ご飯メニューを持ち寄って、ビュッフェ形式で親も一緒に朝のひと時を過ごします。日本代表はおむすびを持参。いろいろな国のお料理を食べ慣れているつもりでも、朝ご飯のメニューというのは意外と知らないもので、小さな発見のある楽しいイベントでした。
ちなみにフランス人の朝ご飯は基本甘いもの。細く切ったバゲットやブリオッシュに、ジャムやチョコレートを塗るタルティーヌが定番です。
国をテーマに味について学ぶ機会も多い味覚週間、先日娘の高校ではアメリカの日というのがありました。給食のメニューはフライドポテト、ハンバーガーにデザートはチーズケーキかブラウニー!大好評だったそうです。

Vol.11「ゆたかな心と味覚を育む、美食の国フランスの食育風景」
Vol.11「ゆたかな心と味覚を育む、美食の国フランスの食育風景」

フランスの学校給食は、カンティーヌと呼ばれる食堂で提供されています。前菜、メイン、デザートがそれぞれ数種類ずつ。ヨーグルトやチーズなどの乳製品が必ずあることと、宗教上の理由で豚肉を食べない子どものために常に代わりになるメニューが用意されていることにフランスらしさを感じます。
近年は給食食材のビオ化やプラスチック廃止なども頻繁に話題になっています。パリ市は2026年までを目安に、カンティーヌの食材を持続可能な食材100%にし、そのうち地元生産品が50%になるようにすること。加工食品の使用を減らすこと。フードロスをなくすこと。週2回のベジタリアンメニュー導入などを目標として掲げています。

Vol.11「ゆたかな心と味覚を育む、美食の国フランスの食育風景」
Vol.11「ゆたかな心と味覚を育む、美食の国フランスの食育風景」

パリ市内でも生産者の名前が表示され、収穫から24時間以内の販売を徹底しているマルシェのような食材店が増えています。最近通っているお店では、専任のシェフが、売れ残りやいたみ始めた食材を毎日調理して販売しています。スープやソース、ジャムやキッシュ、お菓子などに姿を変えた食材はガラスの瓶で販売され、入れ物もまたリサイクルされていきます。子供たちの目や手によく触れる場所で、こうした地球にも体にも優しい活動が当たり前になっていっているのを感じます。日々できる小さなことから。
さて、今日はなにをお皿に乗せましょうか。

Text:Seiko itoh


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